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第5話 赤い地獄②

last update publish date: 2025-12-16 13:35:27

今からおよそ10年前、ある国の悲劇によって世界中を恐怖させた。

その国は、赤い地獄ーレッドヘル。

昔は世界で一番平和で活気のある国だったが10年前の事件によって人はこの国に立ち入る事を禁止された。

そう、人はいない。

昔の事件の影響によって太陽は隠れこの国は年中黒い雲に覆われ冷たい風が街を吹き抜ける。

レッドヘルの中心部には一つだけ壊れていない小さめの建造物があり、その建造物はこの国の地下に繋がっている。

その地下には世間には知られていない場所があった。

地下の悪魔の住処ー通称(悪魔界)

そこにはたくさんの悪魔が生存していて地下には建物や店が出回っていた。

そこにも人間と同じようにトップの悪魔が存在しその者達が集う場所があった。

その部屋には10人程度の悪魔達が椅子に座っていてそのうちの1人の男が言った。

「おい、聞いたかよ?あのロフィスがやられたらしいぞ?」

その男は逆立った黒髪に目がつり上がっている悪魔だった。

その発言に今度は手足の細いスタイリッシュな体型に金の長髪にウェーブが掛かった大人女性が返答した。

「らしいわね。あの予知能力は私達にはない存在だったから結構便利だっだのに…残念だわ。」

その女性はロフィスではなく、ロフィスの能力にしか興味がないようだった。

「なに呑気な事言ってやがんだ。ロフィスが殺られたって事はよぉ、あの悪魔祓いとか言う人間に負けたってことだろーが!」

逆立った髪の男が金髪の女性を睨みつけ怒鳴った。

それに対して女性はクスッと笑い。

「全く、まだまだ可愛い"憤怒"ね。まるで怒鳴るのがカッコ良いと思ってるような学生の反抗期のようね。」

「うっせーな"色欲"のくそババァ。てめえみてえなバカ女は男のケツでも追っかけてろ!」

憤怒と言われた男は凄みを利かしながら言った。

すると女性から笑顔は消え、無表情の顔になった。

ガタァンッ!!

「……は?あんた喧嘩売ってんの?」

椅子から立ち上がると黒いオーラが体の周りから発生し、それを見て憤怒の男が下品に笑いながら挑発する。

「ハッ!やるなら掛かって来いよ!このブスが!」

「このガキ……一回死ななきゃ分かんないのかな…?」

2人が攻撃態勢に入ろうとしたその時。

バァァァン!!!

机を思い切り叩く音が部屋に響いた。

2人は同時に攻撃態勢に入るのをやめ、音が発生した方を向いた。

机を叩いたのは黒スーツに大きな黒いハット帽を被った銀色の髪の男で目は帽子で隠れていた。

そしてその帽子の男はドスの効いた低い声で言った。

「……おい、てめえら2人よ。まさか今回俺たちを呼んだのはてめえらの喧嘩を見物させるためか?ああっ?」

深く被った帽子の隙間から見えた鋭い片目は2人を一直線に見つめ、2人は怯えながら自分たちの席に座る。

その怯えた姿に帽子の男はため息をついた。

「…で。ロフィスを殺ったその悪魔祓いはそんなに強いのか?」

黒い帽子の男が聞くと憤怒の男は首を振りながら。

「いやー、人間の方はまだまだヒヨッコだな。だが、あいつの中にいる悪魔がとんでもないやつだ。」

「中にいる悪魔?…ああ、そういや悪魔の中にもおかしな奴が何人かいたな。人間とわざわざ契約して体を乗っ取らないやつが。」

「そうだ。そのおかしな悪魔が今回ロフィスを殺した人間に魔力を与えてるらしい。」

「あっそ。…で、結論から言うとどうしたいんだ?」

悪魔祓いに興味を示さない黒い帽子の男だったが次の憤怒の男の言葉がきっかけで興味を示した。

「その悪魔祓いは次の目的地を、あの大国イフリークに決めてるらしい。その大国を国民ごと…潰す!」

周囲にいた他の7人の悪魔は憤怒の男が言った事に驚きを隠せなかったが色欲の女と黒の帽子の男は表情を変えず面白そうに聞いていた。

「あの悪魔祓いをのさばらせていても俺たちに得な事はねえ。そんなのは弱い内に殺すのが手っ取り早くていいだろう?」

「そうね。けど、私たちが戦いに出るのはこの悪魔界では禁止されてるはずよ?どうやって国一つ潰す気?」

色欲の女が聞くと憤怒の男は不敵な笑みを浮かべながら言った。

「そうだな……今ここにいる俺と色欲と怠惰のコードネームをつけられた俺たち3人の悪魔は悪魔界の要だ。直接戦うのはあの方に禁じられてるが俺たちにはアレがあるだろ?」

「アレって、もしかして…?」

「そうだ…実験段階だが別にいいだろう。ただ国を潰す簡単な事だから計画には支障ないだろう?」

「しかし、あれを使うのは…」

「賛同する。今の時点で獄魔以上の悪魔が俺たち以外にいないとすればアレを使うしかないだろ。」

「さすが物分りが早い!よし、お前ら!すぐにあの部屋を解放するんだ!」

怠惰の男の賛同を機に憤怒は周りにいた他の悪魔7人は命令によってこの部屋を退出しアレの部屋に向かった。

ここは憤怒達がいた建物の最下層にある地下室。

光を通さない真っ暗闇の空間の中には階段とその前にはノブのついた扉があった。

何ヶ月も放置された地下室に珍しく階段を降りる足音が廊下中に鳴り響いた。

憤怒に命令された7人の部下達は地下室に着くとその中の1人が質問した。

「あの、ここって何の部屋なんですか?」

「いや、俺も知らないがこの部屋に国一つ潰せるほどの何かがあるはずだ。」

「へぇー。…それにしても汚い場所ですね。まるで何年も使われてないみたいですね。」

「そうだな。ここは普段立ち入り禁止だからな。俺もここに来るのは初めてだ。…じゃ、開けるぞ。」

部下の1人がズボンのポケットから手のひらサイズの鉄製の鍵を取り出し、扉に刺した。

ガチャっと音が鳴り響き、扉が開くと錆びた鉄の擦れる音が地下室中に鳴り響いた。

扉が開き切ると同時に鍵を持っていた部下はどういうわけか胸に穴が空き、血を吐きながら倒れた。

「がぁ………」

「な、どうしましたか!?……こ、これは……」

1人の部下が倒れた部下に寄る際に部屋の中を見てしまった。

その中を見た瞬間、他の残った7人の部下達は全員胸に穴を開けられ血を吐きながら倒れた。

「くっくっくっ…全く…相変わらず血の気の多いやつだ…」

階段の上からまるでこれを想定したかの様に部下達が倒れてからコツコツと憤怒は降りてきた。

「久しぶりだな、どうだ解放された気分は。」

憤怒は扉に向かって声をかけると中から黒い手が現れ扉を全開に開けた。

その姿はロフィスが悪魔化したような黒い皮膚の人間型のようだがそれよりも筋肉質な感じで獄魔以上のプレッシャーを憤怒は感じた。

「ほぉ、実験は順調だったみたいだな。5年前の実験当初に比べたらかなり魔力が上がってやがる。」

「………」

目の前にいる悪魔は憤怒の言葉に反応するどころか敵と判断し爪を伸ばして威嚇した。

「おいおい、お前はそんな"爪"に頼らなくても強いはずだぞ?わざわざ弱い悪魔の戦い方なんてしなくていいだろ?それに…俺に逆らえると思ってんのか?あっ!?」

憤怒はまるでこの世のものとは思えない鬼の様な形相で睨むと只ならぬ魔力が部屋中に充満し目の前の悪魔は爪を引っ込め額から一筋の汗が垂れた。

「それに、お前はさっき悪魔の心臓食ったから理性はちゃんとあるはずだ。あんまふざけてるとお前から潰すぞ?」

「……あぁ、すまねー…。で、今まで俺をこんな所にぶち込んどいて今度は何のようだ?」

さっきと違い、その悪魔は憤怒に怯えてるのか身震いしながら質問した。

「大国イフリークを潰せ。どんなやり方でも構わん。町を破壊し人間どもを好きなだけ殺戮してもいい。簡単な事だろ?」

「…わかった。お前らの頼みは聞きたくないが俺もこの5年間この部屋で魔力を高めてきたからな。腕試しにやってやるよ。」

そう言うと男は黒い皮膚姿から筋肉質で黒いスーツを着た人間姿になると憤怒を残して地下室の階段を上がって行った。

残された憤怒は部屋の中を覗くとそこは体育館のように広いがそこには人間の死体が山のように積んであってそれを見てこう言った。

「…たく、人間をこんなに食い散らかしやがって。…まあいいだろう。…くっくっく。せいぜい地上で楽しんでくればいいさ。PDO"04"(プロジェクト・デビル・オペレーター)。」

憤怒は誰もいなくなった地下室で大きく笑い、その声はしばらくの間消える事なく反響し続けた。

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